アジアオリンピック(第3回アジア大会東京)金メダリスト松王清志
第三章 大阪合繊延縄株式会社に就職
Part.3 東南アジア武者修行の旅 夢の香港
episode 1
東洋の真珠と呼ばれる香港。私は生まれて初めて香港で外国の土を踏みました。出来るだけ力強く、胸を張って歩いてやろう。落ち着かない自分に言い聞かせていました。心配だった税関の審査を無事終わり、ホッとしたのも束の間、出迎えの人が来ていないのです。日本よりも湿気が多いせいか、体中がベットリします。飛行場にただ一人取り残され、いらだちと不安な気持ちで、前方を走る二階建てバスや電車を見ていると、「あなたはどこから来たのですか」チャイニースのホステスが私に微笑みかけてくれました。「ニホンカラキタノデス。ムカエニクルヒトガ、キテナクテコマッテマス」。
episode 2
羽田空港で搭乗までの時間待ちの間、英会話の本に首引きだったのに、こんな簡単な英語が出てこないのだから、たまったものではありませんでした。「I came from JAPAN」これが私の最初の英語でした。「ワタシスコシニホンゴデキマス。マツオウノEnglishよりウマイ」 二時間の待ちぼうけでしたが、お互いにチャンポンの言葉で話し合うことが出来ました。彼女曰く、「何事もTryせよ」 そうだ遠慮はいらない。恥も外聞もない。言葉が通じなくては私の目的は果たせないのだから。とにかく手振り身振り。いや、体中使ってもいいから、誰にでも話しかけよう。何事もトライしてやろうとの勇気が芽生えました。
episode 3
新聞記者3人と500人の観衆で一杯になる、この時の香港日報から拾ってみよう。昨日のトーマス杯トーナメント出場のチョウ サイ ワンと松王清志はインディアンクラブで、第一回の試合を日曜日にした。チョウと練習試合に於いて、もし本試合に勝ったならば、必ずやバドミントンファンを熱狂させるような熱戦が展開された。ハッと息を飲むような二つのセットに於いて、フットワークの俊敏さに完全に驚愕させられました。
episode 4
松王は縦横無尽なスマッシュで、15-9と第一セットをものにした。彼の得意とするところは、チュウの足を非常に乱だすところのハーフスマッシュとチョップショットです。チョウがラケットを置いた時、そのラケットでさえも「よき好敵手ござんなれ」と言っているかの如く感じられました。次の会戦における彼らの勝負は決して見逃すべきではありません。チョウは勝負根性が強く、私と引き分けになると、後日勝負しようと場所と期日を決めて帰っていきました。
Part.4 東南アジア武者修行の旅 シンガポール
episode 1
33度というのに余り汗が出ないのは、乾燥した空気のせいだろう。昼間は直射日光を避けて家の中に生活を求めているが、日が西に傾くと人々は公園や広場に出てきて、バドミントンやサッカーのスポーツを楽しんでいる。夕方から無風状態になるこの地方は、バドミントンには絶好の地である。夜間照明に浮かんだグリーンのコート。まさに白鳥が飛び交うのを見て生まれたバドミントンである。
episode 2
シンガポールのバドミントンスタジアムにてゲームがありました。シンガポールではNO1の選手とNO2の選手との2試合をし、一勝一敗でした。コーチ曰く。シンガポールのコーチは「私が君をコーチしたら6か月で君を世界チャンピオンにしてやる」 お世辞にせよ嬉しいことを言ってくれました。
episode 3
シンガポールは果物大国です。私はここのボスと駆け引きをしました。彼曰く、「俺は日本で12本バナナを喰ったのを見たことがあるが、君は何本喰えるか」 その発言に何を思ったか「私はその記録を破ることが出来る」と宣言し、喰いも喰ったり、私は18本のバナナ胃袋に詰め込みました。するとボスは手を叩いて喜び、そして驚いていました。その時からミスターバナナというニックネームを貰いました。