アジアオリンピック(第3回アジア大会東京)金メダリスト松王清志
第三章 大阪合繊延縄株式会社に就職
Part.5 東南アジア武者修行の旅 THAILAND バンコク市内
episode 1
私はホテル到着と同時に、ボーイに象に乗りたいと言ったところ、タイに来て最初に象に乗りたいと言ったのはお前が初めてだと笑われました。象の背中はゴツゴツと振動が尾骶骨まで響いてきます。・・・象の乗り心地はあまりいいものではありませんでした。
episode 2
WELCOM“MR.K.MATSUOU”のアーチをなんとなく照れ臭い気持ちで潜り、トンプリスタジアムの3,000人の観衆の拍手に迎えられて入場した時に、世界の強豪が汗を落としたコート。そのコートで、今自分はゲームが出来るのだと思うと、自然に私の体は力んできました。ゲーム開始前に、「私は何年度のトーマス杯の選手だ」、「私は何年度の」、「私は・・・」と、10人以上のかつての名プレーヤーが握手を求めてきました。ここではトーマスカップの出場選手は、日本の六大学野球のスタープレーヤー以上の人気がありました。
episode 3
この日の私は体調、気力、共に最高の出来で、最初、タイのチャンピオンは私を甘くみて、手加減をしていたようでしたが、私が13-2とリードすると相手は勿論のこと、協会役員はじめ観客迄が、非常に緊張した雰囲気になってきました。日本人ただ一人の私は何となく肌寒いものを感じていました。しかし、その時誰かが「サムライ、サムライ」と大きな声で叫びました。すると一斉に「サムライ」の声はスタジアムにこだました。そうだ、俺は日本の“サムライ”だ。三船敏郎よりいい男だぞ!と。この“サムライ”の一声は、タイ国と日本とを一度に近づけてくれ、館内の張りつめた雰囲気を和らげてくれました。
Part.6 東南アジア武者修行の旅 ビルマ ラングーン
episode 1
水と米の都と言われる通り、猛烈は雨の出迎えでした。一年の内6か月は雨が降るこのビルマでの町全体かび臭く感じられました。三日間の短期滞在なので、すぐその足でビルマ協会のセクレタリーに会いに行くと、ロンジーという腰巻を巻きました。何となく田舎のおっさん風でしたが、快く握手をしてくれました。私のために二十数人の協会役員とプレーヤーがレセプションを開催してくれました。
episode 2
会場は先日に池田首相がウースー主席に招待された場所でした。ここがビルマNO1のレストランだそうです。池田首相は雨雲の垂れ込めるラングーンの空の如く、すっきりしないレセプションだったそうですが、私は賠償問題に関係ない人間でしたからか、それともスポーツマンだったためか、全く至れり尽くせりの大歓迎を受けました。
episode 3
9月14日は観衆3,000人と記者2人が来ていました。床はセメント。電気は暗く、何かの倉庫の跡らしい会場でした。ロンジーを腰に巻き、手に雨傘を持った素足の観客の前でゲームをしましたが、当時のビルマの実力は私が廻った国の中では一番低く、技術的にもこれといって見るものはありませんでした。勿論全勝でした。